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| 去る、5月18から19日『北京芸術祭』に本作品が日本代表公演として中華人民共和国より正式に招聘を受け、公演を行ってまいりました。現場では、記者会見の模様から当日まで中国国内の国営テレビ・ラジオ・新聞などのマスコミ各社で大きく報道され、高い評価をいただきました。その中の一つ「音楽週報」から公演評を御紹介します。 | |||||
-「音楽週報」翻訳-
5月19日の晩、日本のスイセイミュージカルの「夢があるから!」の第二回目の公演が北京の世紀劇院で幕を下ろした。千人近い観客が優美なメロディー、情熱溢れるダンス、煌びやかな舞台背景の中、ヒロインの夢を貫き通す勇気に深く感動させられた。
今回の公演は日本の劇団によるもので、上演演目も日本のオリジナルシナリオで日本人女性、「久美」の物語である。しかしながら物語の主な舞台がニューヨーク・ブロードウェイであるために当日夜の公演はより一層アメリカからやってきたブロードウェイミュージカルのように感じられた。もちろんこれは日本のミュージカル関係者のミュージカルに対する透徹した理解と十分な知識を否定する意味合いではない。
今回の公演成功に結びついた一番のファクターは音楽であると思う。「夢があるから!」のミュージカルナンバーは20曲余りあり、全てのナンバーが感動的で、大体の曲がゆっくりしたリズム、きれいなメロディーで耳障りのいい時流にも乗った作品だった。特にテーマ曲の「夢があるから」は聞く人を感動させてやまない、それでいて口ずさみ易い曲である。日本語が分からなくても1−2回聞いた後には容易く出演者の歌声に合わせて歌いたくなるようないい曲だった。
また、劇のストーリーの描写が逆境でも夢を持ちつづけるというものだったため、多くの曲は、憂いがあっても負けないという歌声で歌われたが、この点も観客の心を捉えるのに十分な効果があった。役者の自然な、それでいて役になりきった歌い方も効果的だった。出演者の歌唱レベルは優劣つけ難いものだったと感じたが、そう聞こえたのは皆それぞれ歌い方の個性がはっきりしているために歌唱レベルを比較しても意味がないのでは、と思えたからかもしれない。音楽の成功は「夢があるから!」の作曲、音楽監督を担当した現代きってのミュージカル作曲家、八幡茂氏の功績によるものだろう。八幡先生は今までに「怪獣ブースカ」や「大草原の小さな家」など多くの人に親しまれてきた音楽作品を生み出し、また音楽監督として「王様と私」、「フェーム」などの制作に携わっている。
舞台美術も「夢があるから!」の成功を実現させた功労者だった。「夢があるから!」で出てくる情景は非常に多く、ニューヨークの街角や日本家庭の家、公演の舞台のシーンがあったと思えば、舞台楽屋、はたまたテレビの撮影現場等々多岐に渡っていた。それにもかかわらず舞台背景の転換は各種の幕と照明を上手に使って各々の情景の特徴を表しており、舞台背景の変化も、いつのまにかごく自然に変わっていて、ミュージカル鑑賞をスムーズにつないでいき、観客を現実に引き戻すようなことが一切なかった。
この他、観客が新鮮に感じたのは、「夢があるから!」は観客とのコミュニケーションを大事にしているという点だろう。第二幕で少なくとも二つのシーンは観客席から演技をしてくれた。それによって場内の雰囲気と舞台上の雰囲気が一体となり、煌びやかな衣装をまとった出演者達が、美しい輝きのある夢のような舞台から観客のすぐ傍に駆け下りてきてくれたのである。それはあたかも、夢を追い求める人は夢の中(舞台)だけに存在するのではないのだ、ということを表現しているようだった。劇の中で日本人の出演者がいい頃合の時に簡単な中国語で台詞をいってくれたシーンがあった。この演出は観客の鑑賞を遮るものにはならずに、かえって劇の内容をより際立たせる効果と観客の意表をつく効果があった。
今回のスイセイミュージカルの公演では中国人女優-菱妹も中国俳優を代表して友情出演を果たした。彼女は観客の拍手喝采を一番多く浴びた役者の一人だった。菱妹はかつて日本のNHKの日中合作ドラマ「桜桃の実る谷」の主演を勤めた事もある女優で、それがスイセイミュージカル代表の水谷誠社長の目にとまるところとなった。若きテレビ映画女優はすぐに歌と演技のミュージカルになじみ溶け込んでいった。これはとても容易なことではなかったと思う。それだけの理由で拍手が一番多かったのではない。菱妹は途中のシーンで中国語の台詞をいい演技をした。そのシーンに到るまでの日本語での台詞は(字幕があったため)別段、観客が劇の内容を理解するのに不都合はなかったのだが、彼女が母語の中国語を使ってくれたおかげでより一層、劇に親しみが湧き、リラックスして観劇することができた。このとき多くの観客の心にひとつの夢が生まれたかもしれない−同じように優秀な中国本土のミュージカルを鑑賞したい、という夢が。
今回の公演で一番残念だったこと、それは劇と関係ないが、劇場の空調が効きすぎて寒かったことだった。そのため残念ながら、耐えられなくなった観客は途中で席を立ってしまったのである。しかし気温の低さに耐えて最後まで鑑賞し、驚きと喜びと感動を手に入れた観客から言わせてもらうならば、早々と出演者の炎のようなほとばしる情熱ある演技で寒さなど解消されていたのである。
終演後、「夢があるから!」の主人公のモデル中川久美女史が舞台に登場し率直な感想を述べていた。今回の公演はたくさんの花束と鳴り止まない拍手の中、無事幕を下ろしたのである。